日常生活の中での何気ないシーンで出会った、あるいは、気にかかった文字や語。普段使っているのに本当の意味や語源を知らないでいた言葉など、改めて調べてみようと始めたblogです。

2016年4月26日火曜日

❮覯❯

❮覯❯    コウ/あ(う)、あ(わせる)、み(る)

▶あう。出会う。でくわす。/見る。/合わせる。/成る。できる。     【漢字辞典オンライン】

この文字単独ではワケわかりませんが、「稀覯本」となると、目にすることありますね。
珍しい本、古写本・限定出版本など数が少なく手に入れるのが難しい本のことを言います。
稀にしか出会うことのない貴重な本、書籍。古美術品的価値のある書籍という感じでしょうか。

ABAJ(日本古書籍商協会)なる組織・団体があり、稀覯本フェアや古書展などのイベントを開催したりしています。
機会があれば、そうしたイベントに足を運んでみたいと常々思っていますが、財力に欠ける筆者としては、“見るだけ”で、そうした趣味趣向の奥義に触れることは難しいだろうと…。
で、また、本日も古書店巡り、てな日々ですわ。

2016年4月25日月曜日

❮鬼籍❯

❮鬼籍❯    きせき
▶死者の姓名などを記入する帳面。過去帳。点鬼簿。     【辞林】
人が亡くなることを、「鬼籍に入る(きせきにいる)」と言いますね。
童話などで鬼が出てくるお話があったりして、“鬼=死”という結びつきがピンと来なかったのですが、中国では、「鬼(き)」は死者や霊のことを意味するそうで、日本的な「鬼」のイメージとは微妙にずれているように思います。
異界の存在という点では近いと言えば近いのかもしれませんが…。
自身の末路を思い、「死」を意識せざるを得ないところに年齢が差し掛かってくると、こうした言葉に反応してしまいます。
ま、覚悟だけはしておかないとな…。
出来うるならば、生にしがみつくだけの終わりにはしたくないな。

2016年4月20日水曜日

❮剣呑❯

❮剣呑❯   けんのん

▶あぶないさま。不安なさま。          【辞林】

「剣難(けんなん)」から変化したとする説あり。つまりは、剣を振り回され危ないね、てな感じなのでしょうね。
その言い方が変化していき「けんのん」となり、呑の字が当てられるようになったそうな。

“やばいっ”、“やべ~”

てなものでしょうか。

ところが、最近では、この“やばい”が、従来とは違う使い方、異なる意味、ニュアンスで使われています。

「半端ねぇ、おいしさ。やべ~」

的に、良いことを強調する際に使われたりします。
常々、違和感はあるのですが、言葉は時代と共に変遷していくもの…
子らをたしなめることもなく、受け入れています。

日本の地震、活断層が活発になり、予測される南海トラフや東海地震のことを思うと、ますます剣呑な状況が続きます。
やばいくらい見事な対策対応が期待されます。



2016年4月15日金曜日

❮劫❯

❮劫❯    こう

▶ほとんど無限ともいえるほどの長い時間の単位。具体的な長さは諸説あって一定しない。(梵 kalpaの音訳「劫波」の略)
▶囲碁で交互に相手方の1石を取ることができる形。これを反復すると勝負がつかないため、1手以上他に打った後でなければ取れない。
                【辞林】

「未来永劫」の「劫」ですね。
いつまで続くのか、我が不遇。陥った負の連鎖から、もう幾年抜け出せないでいることか。
言わば、自業自得の自己責任で、不甲斐ない我が身の他に何者を責めるわけではないが…。未来永劫コレが続くと思うと、生きる気力が萎えるばかり。
せめて、子らに及ぶこと無きよう祈るのみ。
コウを解消するにも打つ手無し…そんな日々が続いているンですわ。

2016年4月11日月曜日

❮崔嵬❯

❮崔嵬❯    さいかい

▶山の、ごつごつして険しいさま。
▶殿舎、楼閣の高く、立派なさま。
                  【大辞林】

知らない言葉ですよね。これも、ある小説中で初見。
作家先生は、勉強してますね。(◎-◎;)
文化・古典に親しんでないと、使えない言葉です。

こうした語に出会うと、辞書で調べるのが楽しくなるし、表現欲も刺激されます。

崔嵬たる我が毎日…

てのは、ちと用法が違うかな。(^_^;)

2016年4月9日土曜日

❮襖❯

❮襖❯  ふすま

▶木の格子組みに布・紙などを張り、木枠を周囲に付けた和室用の建具。部屋の仕切りに用いる。襖障子。      【辞林】

日本文化の象徴的なモノです。
齢を重ねると、こうしたものを見るだけで何かしらの風情を感じ、懐かしい思いが湧いてきます。

最近は、生活様式がすっかりアチラのものになり、ドアにとって代わられた感が強いですね。
同時に、日本人の大切なモノが失われていくようで怖い思いにとらわれます。

部屋を訪れるとき、襖の向こうに思いを馳せ、気配を測り、声をかけて良いものか否かを判じる。相手の状況によっては、静かにその場を去っていく…
そうした奥ゆかしい振るまい、「察する」というココロが失われていますな。
若い人だけでなく、大人と言われる世代でも同じ。

相手にお構い無くトントンとノックしてませんか?
返事が無いと、苛立ちませんか?

人心の荒廃をこうしたところに感じてしまうのです。

「モンスター○○○○」などという輩が大手を振って徘徊する世の中、
嫌な渡世になりました。

2016年4月8日金曜日

❮蝦❯

❮蝦❯  えび・がま/か・が
▶かえる。ひきがえる。エビ。      【漢字辞典オンライン】

“エビで鯛を釣る”
のエビですね。(海老を使う方が多いかも)

この例の他には、一文字で目にすることはまずないでしょうが、「蝦夷」(えぞ・えみし・えびす)として表記されると、
“あ、あの字ね”となるのでは…。

えみしの「夷」の文字は、東方の異民族、野蛮人の意味を表します。
「蝦夷」については、歴史学、民族学など学術的あるいは差別問題の上で繊細な扱いをされるようで、ココでは難しいことには触れません。

学校の授業で、
“(日本列島内の)東方に暮らすまつろわぬ民を蔑称し、蝦夷と呼んだ”
的な説明をされた記憶があります。
蝦夷征伐として、当時、近畿にあった中央政府から征討軍が向けられ、最初の征夷大将軍・坂上田村麻呂が知られています。

筆者がこの文字に注目するのは、ココなのです。
今に繋がる日本国は、1300年ほど前に遡ると、この列島全体を治めていたのではない…
大和朝廷~日本という建国の歴史において、列島の先住民族国家を征討した。
それは、古代、元々列島にあった国々同士の争いが高じて大和朝廷勢力が台頭した結果なのか、あるいは、西日本・近畿に大陸や半島から渡ってきた一団が武力で列島を制覇していった結果なのかは定かではありませんが…(筆者は後者だろうと思っています)、少なくとも、長きにわたる征服・被征服の戦争があったということです。
単一民族による平和な国家が太古の昔から続いていたのではない事実。
征服する側される側の歴史を刻んだ結果、日本国があるのだということ。

そうした歴史を表すものとして、「蝦」という文字がその存在を主張しているような気がするのです。

2016年4月7日木曜日

❮挫滅❯

❮挫滅❯  ざめつ

▶外部からの強い衝撃・圧迫を受けて内部の組織が破壊されること。
                         【goo辞書】

「za-metu」の音の響き、ある種ハードな印象をもたせる語感が好き。
重いものに挟まれて指先を負傷した時、「挫滅創」として治療を受けたこともありました。

近頃は、グローバル化の波や他国企業の進出攻勢などを受けて、日本の企業や経済界、あるいは、日本の国そのものが挫滅状態かも。

2016年4月5日火曜日

❮九十九❯

❮九十九❯  つくも
▶九十九髪(つくもがみ)の略。
▶水草フトイの古名[和名抄]。
                            【大辞林】


❮九十九髪❯  つくもがみ
▶老女の白髪。また、その老女。

白髪の様子が水草の「つくも」(フトイの古名という)に似ていることから。
九十九を当てるのは、「白」が「百」から一を取り去った字形に由来する。
・出典⇒伊勢物語「百年に一年足らぬつくもがみ」
                       【学研全訳古語辞典】

もう使わない言葉だけれど、以前から気にかかっていた読み方です。
つまりは、白=九十九で色を表現し、つくも草で形状を表しているのですね。

今どきのキラキラネーム的な雰囲気もありますが、似て非なるもの。表現力の違い、洒落ています。

ちなみに、「葛折り」を「九十九折り」と書くこともありますね。
「つづらおり」と読み、いくつにも折れ曲がった山道や坂道の様子を表しますが、こちらも秀逸。

2016年4月4日月曜日

❮三百代言❯

❮三百代言❯  さんびゃくだいげん


▶(明治時代初期に資格の無い代言人[弁護士]を罵った語から)もぐりの代言人。
弁護士を罵っていう語。

▶詭弁を弄すること。また、その人。
                            【大辞林】

▶明治時代初期、代言人[弁護士の旧称]の資格無しに他人間の争いに関与し、訴訟や談判の引受けを業とした者の蔑称。三百とも。
三百は300文の略で、わずかな金の意。
                     【百科事典マイぺディア】


この語は、笹本稜平著「太平洋の薔薇」の中で発見しました。恥ずかしながら、初めて知った言葉でありました。
同作では、[詭弁を弄すること。また、その人]の意で使われていました。

思えば、このような人は多いですな。政治の世界、行政官僚と…。
筆者のごとく、否応無く下層で蠢く身にとっては不愉快極まりないンですな、これが。
いやいや、雲上人に限りませぬよ。
無為なプライドを守るためなのか、保身なのか、理屈にならない言い分を曲げぬ人ーーー
身近なところに結構見かけますよね。この三百代言。

2016年4月3日日曜日

❮篁❯

❮篁❯  たかむら/こう

▶竹やぶ、竹林のこと。

▶小野篁(おののたかむら)
平安時代の官僚。小野妹子の末裔で、小野小町、小野道風の祖父(?)
武術に優れ、また、天下無双と言われる文才の主。
法務にも優秀さを発揮するが、反骨精神の強いひねくれ者とも。
閻魔大王のもとで裁判の補佐官を務めたという伝説もある。


恐らくは、人物優秀で公正な人柄だったのであろうね。
権力におもねることもなかったようで、富には縁遠かったらしい。

あやかりたい人物像ではありますな。